吟遊詩人

町中を練り歩いて弾き語りたい。
あなたとの恋物語を。
素敵な恋のはじまりについて?
一途な片思いについて?


それとも・・・恋の終わりについて。
こんな愚鈍で、
一方通行で、
意味も残さなかった
恋物語を誰に向けて語るというんだろう。


登場人物で主人公の二人はあなたとぼくで、
他の人はでてこない。
少し立ち止まって聞いてくれたって、
どうせ皆すぐに通り過ぎていく観客だ。


―――あぁ僕は、僕の方から見た恋物語について伝えたかったのだと思う。
もうひとりの主人公のあなたに。
今はどうしてるかも知らないあなたに。
妬みと後悔と嫉妬と懺悔と愛欲と
入り混じったこの気持ちを歌に乗せて。