別れ際の台詞。

「私から奪ったものを返して欲しい。」
と彼女が言った。返答してしまえば、
奪ったことを認めるようなものなので、
僕は「何の話?」と素知らぬフリをした。
正直に彼女から奪ったものを挙げれば
軽く10は超える。その中には
取り返しのつかないものもいくつかある。
そしてそれらは、僕から彼女に奪われたものでもある。


無自覚で傲慢な今の言葉で、
コレまでの日々が間違っていたと―――
綺麗だった思い出が―――また、1つ奪われた。