短編、物語のような詩

清涼とした虚無感

私に何を欲するのだ? 私にはもう何一つ残っていない。 私を生かす道もない。 私が言葉を紡ぐことは二度とないであろう。 私だけはお前を愛しているなどと口が裂けても言えぬ。 もう私は若くはない。 私はかくも貪欲なるものか。 もし次があるのならと 祈り…

未来から来た彼女

突如街中で、20代中頃の女性にキスをされる。 隣の彼女と比べ物にならない情熱的なキスに、心変わりをしてしまう僕。 その人は言う。 「結局、付き合った男の中で一番だったから、別れなければ良かったと思って」 よく見ると、隣の彼女と瓜二つの容姿をして…

別れ際の台詞。

「私から奪ったものを返して欲しい。」 と彼女が言った。返答してしまえば、 奪ったことを認めるようなものなので、 僕は「何の話?」と素知らぬフリをした。 正直に彼女から奪ったものを挙げれば 軽く10は超える。その中には 取り返しのつかないものもい…

功利主義者のキーくんと、わがままなあーたん。

最大多数の幸福を信じて、 世界のどこかで一つ 幸せが喜びが生まれた事を喜ぶキーくん。 自分の欲望に素直で だれかれ構わず、 わがままを押し通そうとするあーたん。 自己犠牲が過ぎる彼と 他人を犠牲に快楽を得る彼女が出会った。 彼と彼女の間では下僕と…

順位と階段

この町の中心に、空まで続く階段がある。 それは天国に続くと信じられている。 誰も上までいったことないくせに・・・ みんな上を目指して一段一段上ろうとする。 ほとんど町の全員参加しだした。 人数の拡大と共に目的は徐々に変質してくる。 天国に他の人…

頭でっかちなねずみ

人の言葉がわかるのか。 何の遺伝子変化か突然変異か。 まだ、人類が到達していない境地にたどり着いたねずみがいた。 彼は手始めに、タイムマシンを作ろうとした。 小さな体に大きな頭、彼は頭の中で再度、 タイムマシンにかかわる理論や設計図を思い浮かべ…

ダブルミーニング

コンビニの店員に恋をした だから、その店にいけなくなった そう言う自意識過剰な奴がいて 「じろじろ見られてて気持ち悪い」 と言われるよと俺は笑って言った したら、もう初夜をともにしたwと 自慢気に言うものだから 立ち読みのしすぎだろwと 冗談で返…

フラクタクル

雪の結晶のような自己相似の構造 細部と全体が同じ形の構造、フラクタクル。 この世界がフラクタクルだとする。 目を覚ますと1つ大きな あるいは1つ小さな世界へ移動するとする。 自己相似な世界を行き来する・・・ どこまで行っても何も変わらないようで…

世界の果てで泣く少女

月の出ない夜に、君は一人泣いていただろう?? 君の声が僕にだけ聞こえた。だからここまで来たんだ。 なにが原因で君は泣いているんだい?? ようやくこちらを振り向いた彼女の頬には、 今も涙の水滴が伝わっていた。 少しだけ照れ笑いを浮かべながら、 「…