女性と会うたびに削り落とされていく。

自分で見つけた、心の奥に沈んで、根付いている宝物。
もうずっとそれと戯れていたし、もうボクの一部みたいなもので、
これからももっとちょっとずつ輝きを増していくものだと思っていた。
心の奥に、手の中に、時には目の前にあることを実感して、笑顔になった。



ボクだけの世界なら良かった。
新しく招き入れられた誰かも、大切に思ってくれればよかった。
あるいは、ボクがもっと打たれ強かったらよかった。



彼女の冷たい目線、振り払われる手、熱を失っていく言葉と心。
彼女を傷つけたくない、もう失敗したくない一心で、
ボクはその宝物を無意識に、有意識に、壊そうとする。



もう彼女はいなくなった。
宝物は、責任をすべておしつけられて押入れの隅に転がっている。
見てはいけないものに変わって、後ろめたい何かになった。
触ってはいけない何かになった。



新品のピカピカがなくなっていくように、
袖や襟がゆるくなっていくみたいに
流行がすぎていくみたいに、
ぼんやりと、忘れキライになって、遠ざけようとしている自分がいる。
女性と会う度に、キモイは削り落とされ、キモクナイに変わっていく。
大して役にも立たない、女とキモクナイに染められていく。