廃屋

世界に旗を立てた。
柵で覆って家をたて、
そこにわたしの居場所を作った。
が、数年を待たず、ボロボロと痛んだ。



有名なもの、
一番なもの、
便利なもの、
そんな、たいそうなものじゃなくて良いから、
自分にとっての特別でいてくれればそれで十分だったのに。



見回って、直していく、でも、痛むほうが早くて
もっと早く、まえまえまえへと、もっとなにか新しい方法をと
中心へと群がりその重みで沈み込んでいくように、せめて耐え狭くなる。
失う悲しみ、
繋ぎとめようとする哀れ、
もろもろの懐古。
そして、もうほとんどない居場所、眼前の直視したくない現実。



また未練がましく、来る事はあるかもしれない。
でも、もう新しい場所へ向かおうと思う。
何が悪かったのかをも知らぬままに。